
はじめに
妊娠初期はつわりや出血などの体調の変化が起こりやすい時期です。妊娠しておりものが増えたり、茶色いおりものが出て心配になることもあるかもしれません。
そこで、今回は体調の変化として感じることも多い、妊娠初期のおりものについて、その特徴や茶色いおりものが出る原因について説明していきます。
そもそもおりものとは?
おりものは、子宮頚部、子宮内膜、膣から出る酸性の分泌物のことです。
おりものには自浄作用という膣をきれいに保つ作用があり、細菌が子宮内に侵入するのを防ぎます。
また排卵時には、ゼリー状に変わることで、潤滑剤のように精子を受け入れやすい状態にして、受精の手助けをします。
おりものは女性ホルモンと関連して、生理周期に合わせて量や色、粘度が変わります。
女性ホルモンは、卵巣から分泌される、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類です。
おりものの量は、卵胞ホルモンの分泌にほぼ比例します。
月経周期は「月経期」「卵胞期」「排卵期」「黄体期」の4つの時期にわけられます。
毎月の生理が終わった後はほとんどおりものは出ませんが、それから卵胞期では排卵に向けて少しずつ増えていき、排卵期には透明のゼリー状のよく伸びるおりものが出ます。
排卵後はおりものの量が減り、粘り気のある黄白色のおりものに変化します。
こうしたおりものの変化は、女性ホルモンの分泌が正常である証拠で、生理周期を把握するのにも役立ちます。
妊娠初期のおりものの特徴
妊娠初期では女性ホルモンの分泌が増え始めるため、生理前と比べるとおりものの量が増えることが多いです。
おりものは個人差が大きいため、変化に気付かない人もいます。
生理前のおりものが白っぽくどろっとしているのに比べて、妊娠初期のおりものは、色が白っぽく、さらっとしているのが特徴です。
人によっては酸っぱいにおいを強く感じます。
茶色やピンク色のおりものが出る原因
少量の出血がおりものに混じると、茶色やピンク色のおりものになります。
そのようなおりものの原因としては、①着床出血、②異所性妊娠、③切迫流産、④その他の原因が考えられます。
それぞれについて説明していきます。
着床出血について
まずは、着床出血について詳しく見ていきましょう。
着床出血とは、受精卵が着床した際、胎盤を作るために受精卵から伸びた絨毛が子宮内膜を食い破って根を張るように定着します。その時に子宮内膜の血管を傷付けてしまうと起こる出血のことです。
着床出血が起こる時期
着床出血は必ず起こるわけではありませんので、無くても心配する必要はありません。
着床出血が起こる場合は、妊娠4週目、つまり生理予定日と同じくらいのタイミングになります。
そのため、生理と着床出血の区別が付きにくいこともあります。
生理と着床出血は期間が違い、着床出血の期間の目安として1日~長くても3日程度で、生理の出血よりも短いことがほとんどです。
着床出血の色や量について
着床出血で出る血液の色は個人差があり、おりものに血が混ざった程度でピンク色のこともあれば、真っ赤な鮮血の場合や、茶色の血液が少量出る場合もあります。
時間が経った血液だと茶色の出血になります。
生理では、血液の塊が出ることがありますが、着床出血では血の塊が出ることはありません。
着床出血の量については、生理と比べて少ないのが特徴です。出血する期間も短いので、普段の生理と比べると量も少なく感じられると思います。
着床出血によって、軽い生理痛のようなチクチクとしたお腹の痛みを感じることもあります。
異所性妊娠について
異所性妊娠とは受精卵が卵管や卵巣、腹膜など子宮以外の部分に着床してしまうことです。
子宮外妊娠とも呼ばれていて、1〜2%の確率で起こります。
妊娠反応が陽性になっても子宮内に赤ちゃんを見つけられない場合、詳しく検査をして診断されることが多いです。
着床出血程度の出血を起こす場合が多いですが、診断が遅れると着床した部分から大量出血を引き起こし、母体が危険な状態になることもあります。
受精卵が子宮の中にないため、妊娠を継続することは不可能です。異所性妊娠と診断された場合は、妊娠を中止するための処置を早急に行うことになります。
自覚症状がないことが多いため、妊娠を疑った場合は早めに医療機関で妊娠検査を受けることが異所性妊娠の早期発見に繋がります。
切迫流産
次に、切迫流産について説明していきます。
切迫流産とは、妊娠22週未満の流産を引き起こす可能性のある状態のことで、症状は出血や腹痛です。
「切迫流産」という名前ですが、出血があっても子宮口が閉じていて赤ちゃんの心拍も確認できている状態のことを指すので、流産を起こしたわけではなく、妊娠の継続が可能なこともあるので、不安になり過ぎず医師の指示に従いましょう。
出血量は人によって異なり、下着に付く位の少量からナプキンが真っ赤に染める大量の場合もあります。
その他の原因について
絨毛膜下血腫や胞状奇胎、子宮頸部びらんという子宮口近くがただれた状態など、他にも原因が考えられます。
心配な時は自己判断せず、かかりつけ医に相談することが大切です。
出血が出た時の対応について
では、茶色いおりものや出血が出た時はどうすればいいのでしょうか?
妊娠初期の少量の出血や軽い腹痛は、正常の経過の妊娠中でも起こる場合がありますし、流産や切迫流産で起きる場合もあります。
しかし、仮に流産だったとして、すぐに医療機関を受診したとしても有効な対処法はありません。
そのため、夜間・休日にすぐに救急外来を受診する必要はなく、心配な場合は翌日または予定された健診日に受診しましょう。
ただし、生理の時より出血量が多い場合や、腹痛がひどい場合には異所性妊娠や進行流産の可能性がありますので、夜間・休日であっても医療機関を受診しましょう。
妊娠中のトラブルに備えて
ここまで妊娠初期のおりものの変化について説明してきましたが、妊娠中の体調変化について少し不安になってしまったかもしれません。
妊娠検査薬が陽性だったら、もう元気な赤ちゃんが産まれると楽しい生活を想像し始める人も多いかもしれませんが、実は妊娠中は様々なトラブルが起こりやすい時期です。
身体の中で一人の人を育てていくわけですから、母体には精神的な負担ももちろんですが、身体的にも大きな負担がかかります。
高血圧、糖尿病など、これまで気付いていなかった病気が妊娠を機に現れてくることもあります。
例えば、妊娠初期には食事が全く摂れず、入院して点滴治療が必要なほどのつわり「重症悪阻」や、妊娠中期には子宮の入り口が短くなって早産になりそうな状態「切迫早産」になり、安静や治療が必要なこともあります。
妊娠後期には赤ちゃんに血液を送るため循環血液量が増えるので、血圧が上がってしまい、むくんだり尿に蛋白が出たりする「妊娠高血圧症」で入院が必要になることもあります。
これはほんの一例ですが、今まで病気をしたことがなく、健康に自信がある若い女性でも妊娠中にはこのような病気で入院が必要になる可能性もあります。
コウノトリのドラマでも話題になりましたが、出産は本当に奇跡の連続です。
母子共に健康に楽しい妊娠生活を送り、出産を迎えられるのが一番ですが、何が起こるかわからないという心づもりと準備をしておくことが安心です。
そして元気な赤ちゃんを無事迎えられた時、「その日を迎えられることは当たり前のことなんかじゃない」ということを、ぜひ忘れないでいただきたいです。
妊娠中のお金と保険の話
普段病院を受診すればほとんどの方は3割負担で済みますが、「妊娠、出産は病気ではない」という考えが古くからあり、残念ながら妊婦健診の費用や自然分娩の分娩費は健康保険の適応になりません。
基本的には妊婦健診には市区町村からの助成があり、出産育児一時金という42万円の給付を受け取ることができます。
ただし、妊婦健診の助成には地域によってかなり差があり、ほとんど無料で済む地域もあれば、毎回数千円の負担がある地域もあります。
分娩費用も、出産場所や分娩方法、個室か大部屋かなとによってかなり差があるので、42万円で足りることもあれば10〜20万円やそれ以上負担が必要なこともあります。
しかし、もしも入院で治療が必要になったり、帝王切開などの医療処置がされた場合は健康保険の適応となります。
そのような場合、個人で医療保険や妊娠保険に加入していれば、入院日数分の保障や手術の手当金が受けられて安心できると思います。
今あなたは医療保険には入っていますか?
これまで入院したこともないし、必要ないから考えたこともなかったという人もいるかもしれません。
医療保険が必要な状況にならない方がもちろんいいですが、妊娠中は何があるかわからないということを考えると、妊娠保険に入って備えておくに越したことはないと思います。
妊娠がわかってからでも入れる妊娠保険はありますので、自分と赤ちゃんの健康を考えるこの機会にぜひ考えてみてください。

この記事を書いた人:あやか氏
総合病院、産科クリニックで助産師として妊娠期から産後までの関わりを7年経験。
「寄り添う」ことを大切に400件近くの分娩に立ち会ってきた。現在は第一子育児中。
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