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現在、日本では不妊治療を受けたことがある夫婦の割合が5.5組に1組ともいわれ、不妊が珍しいことではなくなっています。

しかしその一方で、不妊症や不妊治療について深く知る機会はなかなかありません。「不妊治療クリニックを受診してみたいけど、よくわからないから不安で最初の一歩を踏み出せない」という人もいるのではないでしょうか。

この記事では、そんな不安を感じている人向けに、不妊症や不妊治療についての基礎知識をわかりやすく紹介しています。

実際に不妊治療を経て妊娠・出産を経験した筆者が、さまざまな判断をするうえで役に立ったと思う情報をたくさん詰め込んだので、ぜひ参考にしてくださいね。

不妊症について正しく理解しよう

「不妊症」の定義

日本産科婦人科学会では、妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交渉を持っているにもかかわらず1年間妊娠しないことを、不妊と定義しています。

ただし、高齢で妊活を始める場合は、妊娠しない期間が1年未満であってもより早く検査や治療を開始した方がよい、という考え方が一般的です。

なぜ不妊になるの?

不妊の原因というと、女性の出産年齢の上昇ばかりが話題になります。しかしWHO(世界保健機関)がおこなった調査によると、不妊原因の割合は「男性側に原因」が24%、「男女両方に原因」が24%となっており、半数近くが男性側にも原因があることがわかります。

そのため、不妊の原因を調べるときは、夫婦そろって検査を受けることが大切です。不妊の原因は多岐に渡りますが、特に割合が高く「不妊症の3大原因」と呼ばれているのが排卵因子、卵管因子、男性因子です。

排卵因子

排卵因子とは、なんらかの理由で排卵が起きなくなる排卵障害を指します。原因としては肥満や痩せすぎ、急激なダイエット、激しい運動、ストレスなどがあります。

卵管因子

不妊の3大原因の中で一番多いと考えられているのが、この卵管因子です。卵管は卵巣と子宮をつないでいる管のことで、卵子と精子が出会い受精する場所でもあります。

この卵管が詰まる、狭まる、癒着するなどが卵管因子に相当します。卵管に問題が起きる原因は、性器クラミジア感染症、虫垂炎などの骨盤内の手術、子宮内膜症などさまざまです。

男性因子

男性因子は、勃起不全などの性機能障害、精子の運動率が低い精子無力症、精子の数が少ない乏精子症(ぼうせいししょう)、精液中に精子が全く見られない無精子症などがあります。

男性不妊の原因は、飲酒、ストレス、糖尿病、加齢、病気や薬の影響、精巣の機能障害、射精に関するトラブルなどが考えられます。

不妊治療について正しく理解しよう

不妊検査の種類を知ろう

不妊検査にはさまざまなものがありますが、以下の検査を6大基本検査と呼びます。女性の検査は月経周期に合わせておこなうため、すべての検査が終わるまで大体1~2ヶ月かかります。

基礎体温(BBT)

基礎体温とは、生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費していない状態にあるときの体温のことです。

基礎体温は排卵の時期に上がり月経開始の時期に下がるため、継続して記録をつけることで排卵の有無や排卵日が予測でき、治療計画が立てやすくなるメリットがあります。

精液検査

精液検査は、マスターベーションで採取した精液を顕微鏡下で観察し、精液量、精子濃度、運動率、奇形率などを測定する検査です。

これらの数値を知ることで、泌尿器科治療や婦人科治療をおこなう必要があるか判断できます。

頸管粘液検査

頸管粘液検査では子宮頸管粘液が正常に分泌されているか、卵胞ホルモンの分泌が正常かがわかります。

一般的に「おりもの」と呼ばれている子宮頸管粘液は、排卵の頃になると精子の通過を助けるために量が多くなり、サラサラとして糸を引くような性質を持つようになります。

子宮頸管粘液に異常があると、精子が泳ぎにくくなり妊娠率が下がります。

フーナーテスト

性交渉後4~12時間以内に受診し、女性の頸管粘液中に運動している精子がいるか調べる検査です。

粘液中に運動している精子が確認できなければ、無精子症や抗精子抗体(精子を外敵とみなす抗体)が疑われます。

子宮卵管造影検査

造影剤を使用して、子宮の形態や卵管の通過性を確認します。卵管が詰まっていたら精子と卵子が出会うことはできません。

この検査は経験者から「痛かった」という話がよく出るため、受けることに不安を感じる人も多いようです。ただ、卵管に造影剤を注入することで卵管の通りがよくなるため、この検査後6ヶ月は妊娠率が格段に上がる妊活女性の「ゴールデンタイム」といわれています。

経膣超音波検査

子宮内膜(受精卵が着床する場所)の厚さ、子宮や卵巣に異常がないかなどを確認します。子宮内膜が薄かったり子宮や卵巣の疾患があったりすると、妊娠しにくくなります。

不妊治療の種類を知ろう

不妊治療には、一般不妊治療と高度生殖医療(ART)があります。

一般不妊治療

タイミング法:基礎体温、超音波検査、ホルモン検査などにより排卵日を予測して、性交渉を持つタイミングを医師が指導する方法です。

人工授精:洗浄濃縮した精子を、排卵の時期に合わせて子宮内に注入する方法です。

高度生殖医療(ART)

体外受精(IVF):卵子を体外に取り出し、パートナーの精子をふりかけてできた受精卵を子宮に戻して着床を促す方法です。

顕微授精(ICSI):顕微鏡下で卵子に精子を注入して授精させる方法です。

不妊治療は何歳までできる?

実際のところ、何歳まで妊娠する可能性があるかは個人差が大きく、明確なことはいえません。ただ、年齢を重ねるごとに妊娠しにくく、流産しやすくなるのは確かです。

日本産科婦人科学会が発表したデータによると、2018年に高度生殖医療を受けた人の妊娠率と流産率は以下の通りです。

30歳35歳40歳45歳50歳以上
妊娠/総治療27.8%25.0%15.1%3.2%0.7%
流産/総妊娠16.8%20.1%32.1%60.6%20.0%

45歳以上になると妊娠率が大幅に下がり、妊娠したとしても半数以上が流産していることがわかります。

また、不妊治療を何歳まで続けられるかは金銭面、精神面、体力面も影響します。

特に金銭面については年齢が上がるごとに負担が大きくなる傾向にあり、令和4年4月から始まった不妊治療の保険適用についても治療開始時に女性が43歳以上の場合は対象外です。

不妊症かもしれないと思ったら

不妊治療に取り組むうえでのポイント

まず、夫婦そろって早めに検査を受けることが大切です。自分たちの体の状態を把握しておくことで、生活習慣を改善したり、今後の計画を早めに立てたりできます。

妊娠率は年齢とともに下がっていくため、自分の年齢での治療成功率を把握したうえで、治療をステップアップするか適切に判断していくことが大切です。

適切な時期に治療をステップアップすることが大切です。

通常より高い出産リスクに備えよう

不妊症の女性が妊娠した場合、以下のようなリスクが通常より高いといわれています。

そのため、医療保険に加入して妊娠したあとの入院・手術など予想外の出費に備えておくことをおすすめします。保険商品によりますが、不妊治療を始めてから医療保険を検討しても加入を断られるか、加入できても婦人科系の疾病は保障対象外となることがほとんどです。

そのため、不妊治療を始める前に加入するのがポイントです。もし医療保険に入る前に妊娠した場合は妊娠保険(母子保健)という選択肢もあります。

妊娠保険は妊娠後に加入する保険で、妊娠・出産にともなう入院や手術への保障はもちろん、産後うつによる通院や子どもの入院・手術を保障してくれるものもあります。

妊娠保険も不妊治療の内容によっては加入できない場合がありますので、詳しくは各保険商品の詳細をご確認ください。

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