会陰裂傷で保険はいくらおりる?診断書を書いてくれない時の対処法は

この記事を見ているあなたは、会陰裂傷で医療保険・健康保険は適用されるのか、また医療保険ではいくらまでおりるのか知りたいのではないでしょうか。

この記事の内容をまとめると

  • 第2度以上の会陰裂傷が起こる割合は、初産婦が約14%、経産婦が約5%
  • 会陰裂傷でおりる民間保険の給付金は商品によるが、入院給付金、手術給付金、女性疾病特約の給付金がおりる可能性がある
  • 会陰裂傷にはレベルがあり、第2度以上であれば民間保険・健康保険適用の可能性がある

この記事を見ることで出産時の自己負担額に予想がつき、予め備えることで安心して出産に臨む事ができるでしょう。

この記事の執筆者

関野みき画像

執筆者関野みき

SEOを意識した健康・美容・フィットネス・エンタメ・スポーツなどの記事を数多く執筆した経験あり。保険会社の帳票作成システムの開発経験があり、出産経験があり現在も育児中。

執筆者の記事一覧

この記事の監修者

三浦希枝画像

監修者ファイナンシャルプランナー 三浦希枝

FP3級を保持。保険会社に勤めていた経験を持ち、現在は、フリーライターとして独立起業し、3人の子供を育児中。大手メディアでの執筆経験やセミナー開催で講師の実績もあり。

監修者の記事一覧

保険適用される会陰裂傷のレベル|第2度裂傷も保険はおりる?

会陰裂傷は裂創の程度によりレベルが設定されており、軽度なものについては健康保険が適用されません。しかし「軽度」といわれても、どの程度の裂創を指すのかピンとこないという方もいるのではないでしょうか。

そこで、具体的にどのような裂創であれば健康保険・民間保険が適用されるのか、自身の負った会陰裂傷がどのレベルなのか確認したいときはどうすれば良いかを解説します。保険会社への問い合わせの際に、会陰裂傷のレベルをわかりやすく伝える方法もあわせて紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

会陰裂傷のレベルとは

会陰裂傷のレベルは、傷の深さにより4段階に分けられます。

  • 第1度会陰裂傷:裂創の範囲が会陰の皮膚や膣壁の粘膜に留まり、筋層には及ばないもの
  • 第2度会陰裂傷:裂創が会陰筋層に及ぶが、肛門括約筋には及ばないもの
  • 第3度会陰裂傷:裂創が肛門括約筋や腟直腸中隔に及ぶもの
  • 第4度会陰裂傷:第3度裂傷に加えて裂創が肛門粘膜や直腸粘膜に及ぶもの

第1度会陰裂傷は、自然治癒が可能であり必ず縫合するわけではありません。第2度会陰裂傷以上は縫合が必要です。第3度会陰裂傷以上になると会陰だけでなく肛門括約筋や直腸粘膜の縫合がおこなわれ、便が硬くならないよう緩下剤の服用も必要になります。

健康保険が適用される会陰裂傷のレベルは?

会陰裂傷のレベルが第2度会陰裂傷以上であれば、健康保険が適用されるケースがあります。

健康保険が適用されているかよくわからない場合は、領収書や明細書を確認しましょう。領収書の手術欄などに診療報酬点数が記載されていれば、健康保険が適用されています。明細書には手術名も記載されるので、よりわかりやすいでしょう。

健康保険が適用された場合は、会陰裂傷にともなう処置費、薬剤費、検査費、入院費も健康保険適用になります。ただし、分娩介助料、赤ちゃんにかかる費用、差額ベッド代、食事代などは健康保険適用外です。

民間の医療保険が適用される会陰裂傷のレベルは?

健康保険が適用されない第1度会陰裂傷については、基本的に民間の医療保険も適用されません。第2度以上の会陰裂傷については加入している保険商品の約款によるため、会陰裂傷が健康保険適用された場合は保険会社に給付金がおりるか確認してみましょう。

問い合わせの際は、Kコード(手術コード)を伝えるとスムーズです。Kコードとは、健康保険が適用される診療費の計算に用いる医科診療報酬点数表の中で、手術に振られているコードです。

「会陰(膣壁)裂創縫合術(分娩時)」のKコードは「K896」ですが、裂創の程度により枝番が振られています。

手術コード 裂創の程度 診療報酬点数
K896-1 筋層に及ぶもの 1,980点
K896-2 肛門に及ぶもの 5,560点
K896-3 膣円蓋に及ぶもの 4,320点
K896-4 直腸裂創を伴うもの 8,920点

会陰裂傷のレベル(第1度〜第4度)とK896の1〜4は、基準が異なるため注意が必要です。領収書や明細書の診療報酬点数を確認すれば、どの手術が適用されたかわかります。もしわからなければ、病院の窓口で確認しましょう。

※1点=10円

※2022年現在の診療報酬点数

会陰裂傷で民間保険はいくらおりる?会陰切開もおりるの?

「会陰裂傷」で民間の医療保険がおりる可能性があるのは、先述した通り第2度会陰裂傷以上になります。一方で、会陰をハサミやメスで切開する「会陰切開」については、基本的に健康保険適用外であり民間の医療保険も適用されません。

ただし、吸引分娩や鉗子分娩の器具挿入を目的としたものに関しては健康保険が適用されるため、民間の医療保険についても給付金がおりる可能性があります。

会陰裂傷や会陰切開で民間の医療保険から給付金が支払われる場合、いくらおりるかは保険商品や契約内容により異なります。支払われる可能性のある給付金の種類としては、入院給付金、手術給付金、女性疾病特約の給付金などが考えられます。

例えば、以下の保険に入っていた場合

  • 入院給付金:日額1万円
  • 手術給付金:一時金10万円
  • 女性疾病手術給付金:一時金10万円

会陰裂傷で6日間入院すれば、1万円×6日間+10万円+10万円=26万円が給付されることになります。

会陰裂傷の縫合術にかかる費用は、最も重度である第4度会陰裂傷(K896-4に相当)の場合でも3割負担で26,760円なので、民間の医療保険に加入しておけば入院費やその他薬剤費などを含めても黒字になる可能性があります。

分娩時に会陰裂傷が起こる割合は?

日本助産師会が2020年に発表したデータによると、分娩時に会陰裂傷が起こる割合は、初産婦が約60%、経産婦が約36%です。(助産所および自宅出産の2,538人を対象に集計)

初産婦(511人) 経産婦(2,027人)
第1度会陰裂傷 46.0% 31.3%
第2度会陰裂傷 13.3% 4.7%
第3度会陰裂傷
0.4%
0%
第4度会陰裂傷 1人
合計 59.7% 36.0%

参考:全国助産所分娩基本データ収集システム2019 集計結果報告

経産婦は初産婦に比べ会陰の伸びがよく、会陰裂傷は少ない傾向にあります。しかし、初産婦の約14%、経産婦の約5%に第2度裂傷以上の会陰裂傷が起こっていることから、自分には起こらないだろうと楽観視はできません。

会陰裂傷などのトラブルに備えたい方は、民間の医療保険に加入しておくと良いでしょう。妊娠してから医療保険に加入すると現在の妊娠が保障対象外になることが多いため、妊娠前に加入しておくのがポイントです。

医師が会陰裂傷(会陰切開)の診断書を書いてくれない理由と対処法

医師に診断書発行を依頼する前に、加入している保険商品の保障範囲をしっかり把握し、保険会社にも問い合わせて給付金がおりる可能性が高いことを確認しましょう。

しかし、保険会社に確認したうえで依頼しているにもかかわらず、医師が診断書を書いてくれないことがあります。その場合は、どのように対応すれば良いのでしょうか。ここでは医師が診断書を書いてくれない理由と、その対処法を解説します。

医師は正当な理由なく診断書の発行を拒否できない

医師法19条2項の定めにより、医師は正当な理由なく診断書の発行を拒否できません。

ここでいう「正当な理由」とは次のものを指します。

  • 患者に病名を知らせることが好ましくない(がん告知が拒否されているなど)
  • 虚偽の記載を求められた
  • 恐喝や詐欺などの犯罪に使用される恐れがある
  • 雇用主や家族など第三者による請求(委任状がない場合)
  • 医学判断が不可能

保険請求のための診断書は5,000円前後の料金設定となっていることが多いです。診断書を発行しても給付金がおりないような内容のときは、無駄なお金を払わずに済むよう良かれと思って診断書記入を断る医師もいます。

しかし、給付金がおりない可能性が高いことを説明したうえで、それでも患者が診断書の発行を希望する場合は拒否できません。

医師が診断書を書いてくれない理由

医師が診断書を書いてくれないときは、以下のような理由が考えられます。

  • 診断書の使用用途や提出先がわからない
  • すべてが正常分娩の範囲内でおこなわれた
  • 医師から見て給付金がおりる内容ではない

保険請求に使用される診断書は記載内容が細かいものも多く、一人の患者が複数枚の診断書を依頼することも珍しくありません。

また、記憶に残っているうちならまだしも、退院後しばらくしてから診断書を依頼された場合は、カルテを照合しながらの作業となるため多忙な医師にとっては非常に大きな負担です。

もちろん、忙しいことを理由に診断書の依頼を断ることはできないはずです。しかし、医師がこの内容では保険請求しても給付金はおりないだろうと感じた場合は、無駄になるものを書きたくないと考えることもあるでしょう。それは、無駄になるであろう診断書代を患者さんに払わせないためでもあります。

医師が診断書を書いてくれない時の対処法

医師に診断書を依頼するときは、診断書の使用目的、診断書の提出先を伝えます。大きな病院では診断書発行の専用窓口に依頼することもありますが、その際も同様です。それでも医師が診断書を書いてくれないときは、まず、その理由を確認する必要があります。

「正常分娩の範囲内だから」と言われた場合は、疾病ではないため病名も付かず、書きようがないという可能性も考えられます。

「書いても給付金がおりないから」と言われた場合は、保険会社に問い合わせて給付金がおりる可能性があることを確認したうえで依頼している旨を伝えましょう。

医師は非常に忙しく複数の診断書を抱えていることも珍しくないため、保険金請求の消滅時効(3年)間近に依頼して「急いでほしい」と言われても困ってしまいます。余裕を持って依頼するよう心がけましょう。

まとめ:第2度以上の会陰裂傷は保険適用の可能性あり

会陰裂傷は第2度裂傷以上であれば健康保険、民間の医療保険ともに適用される可能性があります。入院給付や手術給付がすべておりれば出産費用が黒字になることも十分考えられるため、医療保険未加入の方は加入を検討すると良いでしょう。

初産婦の7人に1人、経産婦の20人に1人が分娩時に第2度以上の会陰裂傷を負ったというデータからもわかる通り、会陰裂傷は決して珍しいことではありません。

健康保険が適用されても、通常時に比べれば出産費用が数万円高くなる可能性があるため、もしもの時のためにしっかり備えておくことが大切です。「備えがある」という事実は、妊娠生活や出産時の安心感にもつながります。

こちらの記事もおすすめです

当サイトでは、弊社が取扱う損害保険会社および生命保険会社の各種商品の概要について解説し、ご紹介しております。

この保険商品一覧に記載されている内容は、条件等により適用されない場合があります。

保障内容・保険料等の保険商品の詳細につきましては、必ず各保険会社が提供する契約概要やパンフレット等、をお取り寄せいただき、「注意喚起情報」「ご契約のしおり・約款」「特別勘定のしおり」等、または保険会社のWEBサイトをインターネットで必ずご確認ください。

  • 取扱・募集代理店 株式会社エレメント
  • 〒212-0052 神奈川県川崎市幸区古市場1-15
  • 電話番号 044-522-5586