「糖尿病」「糖尿病予備軍」と言われたら

日本人の6人に一人が糖尿病や糖尿病予備群と言われている現代社会。
2019年に行われた厚生労働省の調査では、男性の通院者数の第2位になるほど患者数が多く、年々増えているのが実情です。
糖尿病や糖尿病予備軍の患者の多くは自覚症状がありません。
けれども、病気についてよく理解し、生活習慣の改善や治療をおこなえば病気の進行を食い止め、合併症を防ぐことは可能です。
本記事は「糖尿病」や「糖尿病予備軍」と言われた患者さんとそのご家族が、病気を正しく理解し治療や生活習慣の改善ができるよう病気と付き合うポイントを解説しています。

糖尿病や糖尿病予備軍放置してはいけない理由

糖尿病や糖尿病予備群と言われたら、症状がなくても放置してはいけません。
その理由は未治療の糖尿病は心臓や脳など全身の血管をボロボロにし、心臓病や脳血管障害・腎臓病・認知症のリスク因子となるからです。

糖尿病と糖尿病予備軍を理解しよう

糖尿病は知っていても、糖尿病予備軍という病名を聞いたことがある人はあまり多くないかもしれせん。
この2つの病気についてくわしく解説します。

定義

2つの病名の特徴や相違点を以下にまとめました。
糖尿病の方が血糖値やHbA1cの数値が悪くなっています。

  糖尿病 糖尿病予備軍
定義 インスリンが十分に働かないため血糖値が高くなる状態 糖尿病と診断されるほど血糖値は高くないが、正常よりも血糖値が高い状態
検査項目 空腹時血糖 126㎎/dl以上 110㎎/dl以上
随時血糖値 200㎎/dl以上 該当せず
75gOGTT 2時間値 200㎎/dl以上 140㎎/dl以上
HbA1c 6.5%以上 5.6%以上6.5%未満

診断基準

別の日に2回以上おこなった検査で、上記の基準値を超えていた場合に糖尿病と診断されます。
1回の検査で血糖値やHbA1cの両方診断基準を超えているときも、糖尿病と診断されます。

血糖値やHbA1cがどちらかのみ基準値を超えていても、糖尿病の症状がない場合は再検査になるのです。
2回目以降の検査では1回目の検査で血糖値・HbA1cのどちらが基準値を超えていたかで、表のように診断結果が異なります。

引用 糖尿病臨床診断のフローチャート  糖尿病診療ガイドライン2019
http://www.fa.kyorin.co.jp/jds/uploads/gl/GL2019-01.pdf

HbA1cのみ高い場合や血糖値やHbA1cのどちらも診断基準を満たさなければ「糖尿病予備軍(糖尿病疑い)」と診断されます。
糖尿病予備軍と診断された人の多くは、1回目の検査では血糖値やHbA1cのどちらかのみ診断基準を超えています。
本当に糖尿病かどうかは、まだわかっていない「グレー」の状態です。
2回目の検査をおこなって、本当に糖尿病でないのか確認しなければなりません。
糖尿病予備軍の患者は、そうでない患者と比べて20倍糖尿病になりやすいとも言われています。

「糖尿病予備軍と言われたからまだ大丈夫」と安心できる状態では決してないのです。

リスク因子

では、どのような人が糖尿病になりやすいのでしょうか?
厚生労働省は糖尿病のリスク因子を日常生活などの改善で「変えられるもの」と「そうでないもの」に分類しています。
変えられるものに心当たりのある方は、日常生活を見直していきましょう。

<変えられる因子> <変えられない因子>
肥満
身体的活動の低下(運動不足)
耐糖能異常(血糖値の上昇)
高血圧 高脂血症
加齢
家族歴
遺伝子異常
他の原因で発症した代謝異常

糖尿病の原因については、以下の記事も参考にしてください。
糖尿病の基本

患者数

2016年国民健康栄養調査では、糖尿病の患者数についてくわしく調べています。
この調査では、糖尿病患者を「糖尿病が強く疑われる者」、糖尿病予備軍を「糖尿病の可能性を否定できない者」と定義しています。
いずれも約1000万人程度患者数がおり、糖尿病予備軍の患者が多いことがわかります。

平均寿命への影響

アメリカでおこなわれた調査では、糖尿病をもつ人はそうでない人に比べ、4.6年平均寿命が短いことが明らかとなりました。
また歩く、食べる、着替えるなどの日常生活動作(ADL)の障害が6~7年早く進行することもわかっています。
多くの患者の直接の死亡原因は糖尿病ではありませんでした。
ほとんどの患者が感染症にかかりやすくなったり血管がボロボロになったりすることで、さまざまな病気が重症化した結果、平均寿命が短くなっていたのです。
たとえば、新型コロナウイルス感染症にかかった糖尿病患者さんは、重症化・死亡リスクが高いと報告されています。
それ以外にも心臓病や脳血管疾患、がん、認知症のリスクを高めることがわかってきました。
心臓病や脳血管障害、がんなどの医療費は高額になります。
予防行動や治療をおこなうだけでなく、糖尿病保険などで将来の治療費に備えておくとよいでしょう。

糖尿病の症状

劇症型など1型糖尿病を除くほとんどの糖尿病は自覚症状はありません。
初期であればあるほど、異常は採血データでしかわからないのです。
「尿が甘いにおいがする」「疲れやすい」などの自覚症状を認める頃には、糖尿病は進行しています。
知らない間に重症化する糖尿病。
「糖尿病です」「糖尿病予備群です」と言われたら放置せず、適切な治療を受けましょう。

糖尿病の治療

最後に糖尿病の治療について簡単に解説します。糖尿病は「治療の三本柱」と言われる3つの治療をおこないます。
● 食事療法
● 運動療法
● 薬物療法

1型糖尿病などインスリン分泌が全くできない場合では、薬物療法を優先します。
2型糖尿病などのインスリン分泌が足りない場合では、食事療法や運動療法をおこなっても血糖値の改善を認めない場合に薬物療法をおこないます。
これはあくまでも一般論で、インスリンや内服薬を使用するタイミングは患者さん一人ひとりで異なります。
医師の指示を守り、治療をおこないましょう。

「糖尿病」「糖尿病予備軍」と言われたら放置してはいけません

糖尿病や糖尿病予備軍と言われたら、決してそのまま様子を見てはいけません。
糖尿病予備軍は糖尿病でない訳ではなく、今の段階では糖尿病と確認できなかっただけで、糖尿病の可能性はとても高い状態です。 早期に生活習慣を改善し適切な治療を受けないと、心臓病や脳血管障害・腎臓病を招き健康寿命が短くなってしまいます。
病気になると満足に働けなかったり、医療費がかかったりと経済的な負担も多くなります。
糖尿病や糖尿病予備軍と言われたら、必ず近くの内科を受診してくださいね。
本コラムでは、糖尿病の基礎知識や治療・日常生活・医療費など、糖尿病と診断された患者さんやご家族の役立つ情報を発信しています。ぜひ、そのほかの記事もご参照ください。

参考文献

1)糖尿病 健康日本21 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b7.html#:~:text=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%82%92%E5%AF%BE%E8%B1%A1%E3%81%A8,%E3%81%A8%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B4)%E3%80%82
2)糖尿病とは 糖尿病情報センター 国立国際医療研究センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/01.html#01
3)糖尿病予備軍といわれたら 糖尿病情報センター 国立国際医療研究センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/010/010/03.html
4)令和元年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14156.html
5)平成28年「国民健康・栄養調査」の結果
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177189.html
6)―糖尿病の死因に関する委員会報告― アンケート調査による日本人糖尿病の死因 ―2001~2010 年の 10 年間,45,708 名での検討―
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/9/59_667/_pdf
7)糖尿病 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会
https://seikatsusyukanbyo.com/statistics/disease/diabetes/

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