「肥満=糖尿病」ってホント?あなたの知らない糖尿病と体重の新常識

「糖尿病の人は太っている」多くの人が持つイメージですが、それは誤りです。
太っていると2型糖尿病になりやすいことがわかっていますが、すべての糖尿病患者が太っている訳ではありません。
今回は糖尿病と体重の関係をわかりやすく解説します。

肥満=糖尿病患者ではない

「糖尿病の人は太っている」これは誤った認識です。
多くの人がイメージする「肥満体型の糖尿病患者」。
2型糖尿病に多くみられる傾向ですが、2型糖尿病でも標準体重〜痩せ型の人もいます。
また、1型糖尿病や遺伝子の異常で発症する糖尿病MODY、膵臓の病気で発症する糖尿病患者は標準体型の人が多い傾向があります。
また、肥満でも糖尿病を発症していない人もいて、体型だけで糖尿病かどうかは判断できません。

肥満と糖尿病の関係

近年、肥満と糖尿病発症には密接な関係があることがさまざまな研究で明らかになってきました。順に解説します。

内臓脂肪が糖尿病発症リスクを上げる

肥満によって増えた内臓脂肪は、インスリンの働きを悪くするアディポサイトカインを産生します。
さらにインスリンの働きを高め、高血糖を起こさない作用があるアディポネクチンを減らしてしまいます。
血糖値が下がりにくくなった体内で少しでも血糖値を下げるために、膵臓が頑張って働いているのです。
しかし、膵臓にも働ける限界があります。疲れ切ってしまった膵臓は、インスリン分泌が少なくなり血糖値は慢性的に高くなります。
その結果、糖尿病と診断されるのです。

アジア人は欧米人よりも軽度の肥満で糖尿病になりやすい

糖尿病の発症率は民族によって違いがあります。
欧米人の糖尿病患者はBMI30以上を超える肥満で顕著に増加します。
しかし、アジア人はBMI25程度の肥満でも糖尿病患者が増える傾向にあります。
その理由は、アジア人のインスリン分泌能力が欧米人の半分程度しかないからです。
過度の肥満は糖尿病発症リスクを高めますので、適正体重の維持を心がけましょう。

筋肉量の減少は血糖値をあげる

肥満の人の多くが、運動不足により筋肉量が低下しています。
筋肉には体を動かすだけでなく『エネルギー(ブドウ糖)を貯める』役割があります。
蓄えられたブドウ糖は血液中のブドウ糖が減ると血液中に戻り、血糖値を適正範囲内にコントロールしています。
筋肉量が減るとブドウ糖を貯める場所も減ってしまうため、血糖値がコントロールしにくくなるのです。

また近年「痩せすぎなのに血糖値が高い人」が増えているのも、筋肉量の低下が一因といわれています。
適正な筋肉量の維持が糖尿病リスクを遠ざけてできるように

体重増加と糖尿病の関係

体重増加は糖尿病の発症のリスクをあげると昔から言われています。
どれくらい体重が増えると糖尿病の発症リスクが上がるのかを調べた研究結果を紹介します。

体重増加と糖尿病発症のリスク

研究では若年成人期(20歳)から中年期(50歳頃)までの体重の変化を調べています。
体重の変化を「5㎏以上減少」「5㎏未満の変化」「5㎏以上の増加」の3グループに分け、糖尿病発症との関係を調べました。

結果、男女ともに20歳から50歳頃にかけて体重が減った人の糖尿病発症リスクは関連がありませんでした。
しかし体重が5㎏以上増加した人は、体重の変化が5㎏未満だった人と比べて、糖尿病発症のリスクが2.6倍上昇することが明らかになりました。

女性は「中年期の体重増加」が糖尿病発症リスクをあげる

つぎに、中年女性と糖尿病発症リスクをご紹介します。
前述の研究では対象者を以下の5つの体重変化のグループにわけ、50歳時点からの5年間の体重の変化と糖尿病発症の関連について調べています。

中年になって体重が5kg以上増加した女性は、糖尿病発症リスクが1.8倍高くなっていました。
男性には中年期の体重増加と糖尿病発症リスクの関係性は見られませんでした。
糖尿病発症リスクを下げるためには、20歳以降に大幅に体重が増えないことが大切です。
現在、体重が多めで糖尿病や糖尿病予備軍の方は、適正体重を目指した生活を行うようにしましょう。

肥満と適正体重を正しく理解しよう

糖尿病を発症しない、糖尿病と上手く付き合うためには適正体重の維持が欠かせません。
ここからは「肥満」と「適正体重」について詳しく解説します。

肥満とは?

医学的な肥満とは『体重が多いだけでなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態』と定義されています。
体重が多くとも筋肉や骨の重さが多い人は、肥満とは診断されません。

肥満の判定は日本肥満学会の「肥満度分類表」を用います。

引用:肥満と健康 e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html

身長と体重からBMIを計算し、自分のBMIがどの判定に当てはまるか判断します。
BMIは国際的な指標で「22.0」前後が肥満や生活習慣病のリスクが低いということが統計上明らかになっています。
BMIの計算式と計算方法は以下の通りです。

■BMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]

■例)Aさん  身長170cm 体重75kg
BMI = 75kg / (1.70m × 1.70m) = 25.95 →Aさんは「肥満(1度)」と判定

糖尿病患者の適正体重はどれくらい?

糖尿病の発症予防や血糖コントロールの改善には「適正体重」を目指すように指導されるケースが少なくありません。
糖尿病患者の適正体重は『BMI20〜24』に相当する体重です。
「身長×身長×20」~「身長×身長×24」の間で体重をコントロールしましょう。実際の目標体重は以下です。

■例)Aさん  身長170cm    BMI 20.0
BMI 24.0 
体重75kg
BMI 20=xkg / (1.70m × 1.70m)  x=57.8kg
BMI 24=xkg / (1.70m × 1.70m)  x=69.36㎏

適正体重を維持し糖尿病発症予防を

糖尿病と肥満には密接な関係があります。
しかし、問題は「体重が多すぎる」ことではなく、「体脂肪が多すぎる」こと。同じ体重でも骨格や筋肉量で適正体重は一人ひとり異なります。
ご自身の適正体重を知り、筋力を維持したうえで健康的に適正体重を目指しましょう。

本コラムでは、糖尿病の基礎知識や治療・日常生活・医療費など、糖尿病と診断された患者さんやご家族の役立つ情報を発信しています。ぜひ、そのほかの記事もご参照ください。

参考文献

1)Nanri A, Mizoue T, Takahashi Y, Matsushita Y, Noda M, Inoue M, Tsugane S; Japan Public Health Center-based Prospective Study Group. Association of weight change in different periods of adulthood with risk of type 2 diabetes in Japanese men and women: the Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Epidemiol Community Health. 2011 Dec;65(12):1104-10. doi: 10.1136/jech.2009.097964. Epub 2010 Jul 13. PMID: 20628079.

2)日本肥満学会 肥満症診療ガイドライン2016 ライフサイエンス出版 2016

3)肥満と健康 e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html

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