何歳から糖尿病患者は多いの?年齢と糖尿病の関係を徹底解説

糖尿病に「ぜいたく病」「中高年の人がなる病気」というイメージを持っている人は少なくありません。
イメージのとおり2型糖尿病は中年以降に発症しやすく肥満や食べ過ぎ、運動不足などが発症のリスクを高めます。
実は子どもや若い女性でも発症する糖尿病もあり、太っていなくても「糖尿病」もしくは「糖尿病予備軍」と診断されるケースもあります。本記事では糖尿病と年齢の関係をさまざまな角度から解説します。

糖尿病と年齢の関係 最新の動向

2019年国民健康・栄養調査の報告によると、HbA1c(NGSP)値が6.5%以上又は糖尿病の治療中の患者の割合は以下の表の通りです。
患者数は直近10年で大きく変化はなく、年齢が高くなるにつれて増加する傾向も変わりありません。

引用:P20 図24「糖尿病が強く疑われる者」の割合(20歳以上、性・年齢階級別) 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

加齢と糖尿病の関係

年齢が上がると糖尿病を強く疑う患者が増える傾向があります。
50歳未満の糖尿病が強く疑われる患者の割合は男性6.1%女性2.8%ですが、50歳台ではその割合は男性17.8%女性5.9%と増加します。
加齢にともなって耐糖能機能に異常を認める理由は以下で、それぞれが複合的に関連しています。

体内で起こる変化 糖代謝への影響
筋肉量の減少よる相対的な脂肪量割合の増加が影響したインスリン抵抗性の増大 インスリンに対する反応が悪くなり、血糖値が下がりにくい
インスリン分泌の遅れ・減少 食事を食べた際のインスリン追加分泌が適切に行われず、血糖値が下がりにくい
糖質中心の食事内容 糖質過多になり血糖値が上がりやすくなる
運動量・活動量の減少 運動で糖を消費しないため血糖値が下がりにくい

タイプ別に異なる好発年齢

「糖尿病」はタイプごとに発症しやすい年齢(好発年齢)が異なります。
代表的な2つを紹介します。

1型糖尿病 2型糖尿病
好発年齢 8~12 歳、思春期にピーク 40 歳以降

多くの人がイメージする糖尿病は2型糖尿病ですが、子どもが発症しやすい糖尿病もあるのです。

増加する「痩せた20代女性」の糖尿病1)

日本は痩せ型の女性の比率が先進国のなかでも突出しており「痩せていることは、良いこと」と痩せ願望の強い女性が増えています。
最近の研究で肥満の糖尿病患者と同じ耐糖能異常を抱えている痩せた女性が多いことが明らかになりました。
耐糖能異常とは糖尿病を調べる検査で、食後に高血糖になっている状態です。
耐糖能異常は主に肥満が原因でインスリンの分泌が減ったり、インスリンが効きにくくなったりする「糖尿病」もしくは「糖尿病予備軍」の状態です。
研究では痩せている女性は標準体重の女性と比べて耐糖能異常の割合が約7倍で、アメリカの肥満の人よりも高くなっていました。

引用:図1 痩せた若年女性では耐糖能異常が多い  食後高血糖となる耐糖能異常が痩せた若年女性に多いことが明らかに
~痩せていても肥満者と同様の体質~ 順天堂大学
https://www.juntendo.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00034764.pdf&n=News+Release+IGT+20210216.pdf

さらにインスリンの分泌や働きは、中高年の耐糖能異常の女性と同程度に大きく低下していました。
瘦せているのにも関わらず、体内は中高年の「糖尿病」もしくは「糖尿病予備軍」の女性と同じ状態だったのです。

引用:図2 痩せた若年女性の耐糖能異常の特徴  食後高血糖となる耐糖能異常が痩せた若年女性に多いことが明らかに
~ 痩せていても肥満者と同様の体質 ~ 順天堂大学
https://www.juntendo.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00034764.pdf&n=News+Release+IGT+20210216.pdf

この状態は「瘦せている」ことだけが問題で起こっている訳ではありません。
痩せている若い女性に特徴的な以下の傾向が原因になっているのです。

心当たりのある女性も多いのではないでしょうか?
これらの習慣は痩せられても、糖尿病のリスクを高めます。
全身にさまざまな合併症が起こってから糖尿病に気づいても遅いのです。

痩せていても糖代謝異常を起こしていない人には共通点があります。
それは栄養バランスのよい食事をとりながら、運動して痩せているという事です。
体をしっかりと動かすとインスリンの効きにくさが緩和されます。
さらに、十分な栄養を取ると質の良い筋肉が付き、代謝もアップし脂肪燃焼効果が期待できます。

運動といっても、ジムに通ったりランニングしたりする必要はありません。
急につらい運動を始めるのは怪我の元ですし、持続しないでしょう。
おすすめの運動は、今回の研究を行った順天堂大学の「女性のためのエクササイズプログラム 」です。

 

チェック編の動画で自分の体の状態を確認し、自分に必要なエクササイズを選んで運動できます。
自宅で隙間時間に簡単に取り組めるメニューになっているので、ぜひ試してみてください。

糖尿病は短命?糖尿病と寿命の関係

日本人の平均寿命は世界でも有数の長さです。
しかし、糖尿病は全身にさまざまな影響を及ぼす病気で平均寿命は短くなる傾向にあります。
ここからは、糖尿病や糖尿病の予備軍の人の寿命についてまとめました。

糖尿病患者の平均死亡年齢は平均寿命よりも短かい

日本糖尿病学会では、日本人の糖尿病患者の死因や死亡年齢について詳しく調べています。
2001~2010年の平均死亡年齢は、同年代よりも10歳前後短くなっています。
やはり、糖尿病を持つ人の寿命はそうでない人と比べて短くなっているのです。4)

男性 女性
2001~2010年の糖尿病患者の平均死亡年齢 71.4歳 75.1歳
2001~2010年の平均寿命との年齢差 ‐8.2歳 ‐11.2歳

しかし2001~2010年よりも前の10年と比べると、糖尿病患者の平均死亡年齢は3歳以上伸びています。
平均寿命の伸びは2歳程度ですから、昔よりも糖尿病患者とそうでない人の平均寿命の差は少しずつ縮んでいます。

男性 女性
1991~2000年の糖尿病患者の平均死亡年齢の伸び +3.4歳 +3.5歳
1991~2000年の平均寿命の伸び +2.0歳 +1.7歳

血糖値と平均寿命の関係

血糖値と平均寿命には大きな関係があります。
血糖コントロールが悪い人は、血糖コントロールが良い人と比べて約1.6歳寿命が短いです。

平均死亡年齢 72.6歳
血糖コントロール不良群の死亡年齢 ‐1.6歳

その理由は糖尿病の合併症であるがんや心血管系疾患、糖尿病性腎症による末期腎不全、感染症などを発症し亡くなる患者さんが多いためです。
それぞれの病気ごとの血糖コントロールが良い人と悪い人の平均死亡年齢の差を以下にまとめました。


病名
血糖コントロールが良い人との死亡年齢の差
悪性新生物(がん) ‐0.8歳
血管障害 ‐2.4歳
糖尿病性腎症による腎不全 ‐4.7歳
不整脈 ‐5歳
糖尿病性昏睡 ‐6.9歳
低血糖昏睡 ‐10.7歳

血糖コントロールが悪い人ほど、平均寿命は短くなることがよくわかる結果となりました。

血糖コントロールを良くし長生きしよう

昔と比べて糖尿病患者の平均寿命は伸びていますが、同じ糖尿病患者でも血糖コントロールが悪いほど寿命は短くなります。
長生きのためには、医師の指示のもと目標範囲内でHbA1cや血糖値をコントロールする必要があります。
医師や看護師・管理栄養士や薬剤師などのサポートを受けながら、長生きを目指しましょう。

本コラムでは、糖尿病の基礎知識や治療・日常生活・医療費など、糖尿病と診断された患者さんやご家族の役立つ情報を発信しています。ぜひ、そのほかの記事もご参照ください。

参考文献

1) 令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf

2)Motonori Sato, Yoshifumi Tamura, Takashi Nakagata, Yuki Someya, Hideyoshi Kaga, Nozomu Yamasaki, Mai Kiya, Satoshi Kadowaki, Daisuke Sugimoto, Hiroaki Satoh, Ryuzo Kawamori, Hirotaka Watada, Prevalence and Features of Impaired Glucose Tolerance in Young Underweight Japanese Women, The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Volume 106, Issue 5, May 2021, Pages e2053–e2062,
https://doi.org/10.1210/clinem/dgab052

3)食後高血糖となる耐糖能異常が痩せた若年女性に多いことが明らかに
~ 痩せていても肥満者と同様の体質 ~ 順天堂大学
https://www.juntendo.ac.jp/albums/abm.php?f=abm00034764.pdf&n=News+Release+IGT+20210216.pdf

4)―糖尿病の死因に関する委員会報告―アンケート調査による日本人糖尿病の死因―2001~2010年の10 年間、45,708名での検討―  日本糖尿病学会誌第59巻第9号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/59/9/59_667/_pdf

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